これまで何社にも相談したんですが、どこも対応できないと言われてしまって……
あるゴム成型メーカー様から、そんなご相談をいただきました。
ご依頼いただいたのは、ゴムの分出し(シート加工)。
一見すると、一般的なゴムの分出し加工です。しかし、求められる品質は通常の分出しとは大きく異なるものでした。
エアー抱きや、ロール加工時に生じるわずかな表面の跡が、そのまま成形後の製品に転写され、不良につながってしまうのです。

これまでは、お客様の社内でも限られた熟練ロール作業者しか対応できず、外注先を探しても断られる状況が続いていたそうです。
そんな難しい分出し加工を、今回、小暮ゴムでお引き受けすることになりました。
現在では安定した量産を継続しており、お客様からは当初のご依頼以外のゴム材料についても、幅広くご相談をいただけるようになっています。
わずかなロール跡が、そのまま製品不良になる
ゴムの分出し加工では、一般的に厚みや幅、重量、作業性などが重要な管理項目となります。
しかし、今回のお客様が最も重視されていたのは、寸法精度以上にゴムシートの表面肌がきれいであることでした。
ゴムをロールで加工する際には、材料の状態や作業条件によって、エアー抱きやバンク跡などが発生する場合があります。
一般的な用途であれば、後工程で問題にならない程度のわずかな表面の乱れでも、今回の材料ではそうはいきません。
分出し時にできた跡が、後工程で成形した製品の表面に転写されてしまうためです。
つまり、材料としての硬度や引張強さなどの物性が規格内であっても、表面肌が悪ければ使用できません。
「材料の物性は問題ない。でも、表面のわずかな跡が原因で製品が不良になる」
このような要求に対応するには、通常の分出し加工とは異なる、非常に繊細な作業が必要でした。

社内の熟練工にしか任せられない。外注先も見つからない
この材料は、もともとお客様の社内で分出しを行っていました。
ただし、誰でも対応できるわけではありません。
長年ロール加工に携わってきた熟練作業者でなければ、要求される表面品質を安定して出すことが難しい状態だったそうです。
そこで、外部への委託を検討。
複数の加工会社に相談されたものの、いずれも対応は困難との回答でした。
ゴムの分出し加工ができる会社はあっても、今回のような厳しい表面品質まで保証できる会社は、なかなか見つからなかったのです。
しかし、特定の熟練作業者にしかできない工程を社内に抱え続けることには、別の問題もあります。
その作業者が休めば、生産が止まってしまうかもしれない。
将来、退職することになれば、誰がその技術を引き継ぐのか。
これは単なる加工の難しさではなく、生産を継続していくうえでのリスクでもありました。
小暮ゴムの対応|加工方法の検討と限度見本による品質管理
ご相談を受けた小暮ゴムでは、まず要求される表面品質を確認し、対応方法の検討を進めました。
今回のような材料では、単にゴムを所定の厚みに分出しできればよいわけではありません。
材料の特性を理解したうえで、表面状態を崩さずに安定してシート化するための加工技術が必要です。
そこで当社では、実際の加工・評価を通じて、要求品質を満たす分出し方法を検討しました。
また、今回特に重視したのが、限度見本による品質基準の明確化です。
表面肌の良否は、数値だけでは判断しきれない部分があります。
- どの程度の表面状態であれば使用できるのか
- どこからが不良と判断されるのか
こうした判断が曖昧なままでは、たとえ一度きれいなシートを作れても、安定した量産にはつながりません。
そのため、限度見本を作成し、表面品質を確認するための基準を明確にしました。
単に「きれいなシートを作る」というだけでなく、継続して品質を維持できることを目指した取り組みです。
誰でも作業できるようにはしない。難しい加工だからこその生産体制
今回の分出し加工では、作業者の技能も非常に重要です。
ロール作業は、決められた手順を守れば必ず同じ結果になるとは限りません。
ゴムの状態は、配合や温度、加工時の状態によって変わります。
特に表面肌への要求が厳しい材料では、わずかな作業の違いが仕上がりに影響することもあります。
そのため小暮ゴムでは、今回の材料について、分出しラインのリーダーおよびサブリーダーに作業者を限定しています。
対応可能な作業者を明確にし、限度見本による品質確認と組み合わせることで、安定した品質を維持しています。
難しい加工だからこそ、無理に誰でも対応できる状態にするのではなく、確実に品質を出せる体制を優先しました。
難加工の外注化に成功。現在も安定量産を継続
こうした取り組みの結果、これまでお客様の社内でしか対応できなかった分出し工程を、小暮ゴムでお引き受けできるようになりました。
現在も継続して量産を行っており、品質も安定しています。
今回の取り組みで実現できたのは、単に難しいゴムシートを加工できるようになったことだけではありません。
これまで限られた熟練作業者に依存していた工程を外部委託できるようになり、お客様の社内で抱えていた生産上の負担やリスクの軽減にもつながりました。
そして何より、今回の対応をお客様に大変喜んでいただけたことが、当社にとってもうれしい成果でした。
その後、当初の分出し加工だけでなく、他のゴム材料についても幅広くご相談をいただくようになりました。
一つの難しい加工をお引き受けしたことが、お客様との新たなお取引につながっています。
ゴムの練り加工や分出し加工には、物性表や設備仕様だけでは判断できない難しさがあります。
同じ配合、同じ設備を使っていても、作業方法や担当者の技量によって仕上がりに差が出ることは珍しくありません。
特に今回のような表面品質が求められる材料では、その違いが最終製品の良否を左右してしまいます。
だからこそ、私たちはゴムを練って、所定の厚みに分出しすれば仕事が終わりだとは考えていません。
大切なのは、お客様の次工程で問題なく使用できる状態に仕上げること。
そして、一度だけ良いものを作るのではなく、継続して安定した品質で納入できることです。
今回の案件も、決して簡単な加工ではありませんでした。
それでも、お客様が本当に困っているのであれば、まずはどうすれば実現できるかを考えたい。
小暮ゴムでは、そうした姿勢を大切にしています。
「他社に分出し加工を断られてしまった」
「表面肌が安定せず、成形後の外観不良に困っている」
「熟練作業者にしか対応できない工程を外注化したい」
このようなお悩みがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
他社で対応が難しいと言われた加工でも、実際の材料や要求品質を確認することで、解決の糸口が見つかるかもしれません。
小暮ゴムでは、配合設計から混練り、分出し、量産まで、お客様の製造現場に合わせた対応を検討いたします。
※お客様の機密情報保護のため、製品用途・配合内容・具体的な加工条件などの詳細は非公開としています。

